腰椎固定術を行った後、治療が上手くいったかどうかをレントゲンやCTといった画像検査で評価します。
画像で評価する際にどういった点に着目することで固定および動的評価が上手くいっていると判断できるのかを腰椎CT画像での評価を中心にまとめました。
腰椎単純レントゲンでの評価
腰椎単純レントゲンでは側面像の
- 屈曲位
- 伸展位
の2つを評価します。
標的椎間の終板の角度の変化が屈曲位、伸展位で5%以下→骨癒合が良好である。
と判断します。
が、CTで再構成画像を作り、詳細に評価できるようになったため、術後の画像評価では通常CTで行います。
腰椎CTでの評価
術後1ヶ月→3ヶ月→6ヶ月→12ヶ月→2年をメドに単純レントゲンと合わせてCT画像を撮影し、評価します。
その際にチェックするべきポイントは、
- 椎間グラフトの位置
- スクリューの位置
- cageの陥凹、椎間スペース
- スクリューやcage周囲の透亮像
- 骨癒合
です。
椎間グラフトの位置
椎間のグラフトが、前後、左右にずれていたり、椎間外に逸脱していないかチェックします。
一般的に後方にずれることが多いとされます。
スクリューの位置
スクリューが椎弓の内外、上下の骨壁を超えていないかを3方向からチェックします。
内側にずれる頻度が高く、その場合は脊柱管に逸脱し、神経障害のリスクがありますので評価が必要となります。
cageの陥凹(cage subsidence)、椎間スペース
cageが終板に勝ってしまい、終板が陥凹し、cageが終板を超えてめりこんでしまっていないかをチェックします。
この場合は椎間スペースが術直後よりも狭くなってしまうので椎間腔の距離をチェックします。
この場合は、骨癒合が促進されません。
スクリューやcage周囲の透亮像(loosing)
スクリューやcage周囲には透亮像が見られないことが、骨癒合へと向かいます。
ところがこれらの透亮像があるということはスペースがあるということであり、骨癒合の遅延や非癒合を示唆する所見となります。
これらの透亮像の有無に加えて
- スクリューが折れていないか
- スクリューが抜けそうになっていないか、偏位していないか(backout)
をチェックします。
ただし術後3−6ヶ月のcageと終板の間の透亮像は一過性のこともあるのでその点を知っておく必要があります。
終板に、erosionや骨嚢胞性変化が新たに生じている場合は、骨グラフトやデバイスによる慢性的な刺激による変化が示唆され、偽関節、非癒合を示唆する所見となります。
骨癒合
骨グラフトと上下終板の骨皮質に透亮像を認めない状態を骨癒合が得られたと言います。
終板→骨グラフト・cage→終板 の間が高吸収で満たされ、透亮像がない状態です。
非癒合の評価
骨癒合は
- 6-12ヶ月で90%
- 24ヶ月で95-98%
- の症例で得られます。
骨癒合が得られない、非癒合、偽関節は、
- 骨グラフトと終板の間の透亮像
- 終板のerosionや骨嚢胞形成
- 架橋する骨の透亮像/骨折
などを認める場合に疑われ、術後6ヶ月以降でもこれらの所見があるときに強く疑われます。
ただし、術後2年後以降に骨癒合が得られる場合もあると言われています。
また、骨粗鬆症症例では、骨密度の低下のため、骨癒合の遅延やスクリューのloosingが起こりやすいと言われ、スクリュー周囲にセメントなどの充填や拡張するスクリューを用いた補強が報告されています。
参考文献:画像診断 Vol.38 No.9 2018 P958-962