【胸部レントゲン】心陰影の弓はどの解剖に対応する?

胸部レントゲン検査の心陰影を形成するのは右の2つのなだらかな線(弓)、左の3つのなだらかな線(弓)です。

「右の第2弓は何だったけなあ?」
「左の第3弓の解剖は何だったかなあ?」

と、つい忘れがちな心陰影の弓についてまとめました。

ちなみに第○弓の読み方は「だい○きゅう」です。


下のレントゲン画像は30歳代男性の正常例です。

右に1−2弓、左に1−4弓があります。

右第1弓

通常、上大静脈で形成されます。

が、加齢などにより拡張・蛇行した上行大動脈が形成することがあります。

右第2弓

心臓の右房で形成されます。

ただし、拡張した右室が形成することがあります。

右第2弓の下部は横隔膜とクロスし、心横隔膜角を形成しますが、この部分は脂肪が沈着して、不鮮明になることがしばしばあります。

左第1弓

大動脈弓で形成されます。

左第2弓

肺動脈流出路・左肺動脈幹で形成されます。

左第3弓

心臓の左心耳で形成されます。

左第4弓

心臓の左心室で形成されます。

下部は心尖部で、横隔膜と接し右と同じように、脂肪沈着により不明瞭になることがあります。

心陰影の拡大とは?

心陰影の拡大とは、心臓部分が拡大してしまうことです。

心臓の横幅と、肺野の横幅の比=心胸比(CTR:cardiothoracic ratio)を目安にします。

この心胸比が50%以上のときに心拡大(心陰影の拡大)を疑います。

なお、乳幼児では胸腺の陰影も含まれ、60%程度までは正常とされます。