「Hair-on-end sign(ヘア・オン・エンド・サイン)」は、頭蓋骨のX線画像において、放射状に広がる骨梁が確認される特徴的な所見です。この所見は、特定の疾患と関連しており、画像診断において重要な手がかりとなります。

Hair-on-end signの概要

Hair-on-end signは、頭蓋骨のX線画像で、頭蓋骨の海綿骨部分(diploë)において、骨梁が放射状に配列しているように見える所見です。これは、骨髄の過形成や腫瘍による骨反応を示唆するものであり、特定の疾患において観察されます。

関連する疾患

Hair-on-end signは、以下のような疾患で観察されることがあります。

  • 鎌状赤血球症(Sickle Cell Disease):慢性的な溶血性貧血により、骨髄の過形成が生じ、頭蓋骨の海綿骨部分が拡大し、Hair-on-end signが現れることがあります。
  • 地中海性貧血(Thalassemia):β-サラセミアなどの慢性貧血においても、骨髄の過形成が生じ、同様の所見が見られることがあります。
  • 髄膜腫(Meningioma):頭蓋骨に浸潤するタイプの髄膜腫では、骨反応としてHair-on-end signが現れることがあります。

画像診断のポイント

Hair-on-end signを確認するためには、以下の画像診断のポイントに注目することが重要です。

  • X線画像:頭蓋骨の側面像で、海綿骨部分における放射状の骨梁の配列を確認します。
  • CT画像:骨構造の詳細な評価が可能であり、海綿骨の拡大や骨梁の配列を明確に描出できます。
  • MRI画像:骨髄の状態や腫瘍の評価に有用であり、髄膜腫などの軟部組織の病変を確認できます。

画像とその解説

以下に、Hair-on-end signを示す代表的な画像を示します。

Hair-on-end signのX線画像
図1:頭蓋骨のX線画像におけるHair-on-end sign。海綿骨部分に放射状の骨梁が確認される。
Hair-on-end signのCT画像
図2:CT画像におけるHair-on-end sign。骨構造の詳細な評価が可能で、海綿骨の拡大や骨梁の配列が明確に描出されている。

臨床的意義

Hair-on-end signは、特定の疾患における骨髄の過形成や腫瘍による骨反応を示唆する重要な所見です。この所見を見逃さず、関連する疾患の鑑別診断を行うことが、適切な治療方針の決定につながります。

参考文献