子宮筋腫が急性腹症を起こすのはまれですが、子宮筋腫がベースにあり、そこに何らかの変化が加わり急性腹症を起こすことがあります。
それは、
- 子宮筋腫の捻転
- 子宮筋腫の赤色変性
- 子宮筋腫の出血
- 子宮筋腫の子宮動脈塞栓術(UAE:uterine artery embolization)後の合併症
などがあります。
子宮筋腫の捻転
漿膜下子宮筋腫に起こるまれな病態です。
捻転が起こると造影CTやMRIで捻転を起こした筋腫に造影効果が減弱〜欠如します。
子宮筋腫の赤色変性
筋腫の辺縁の静脈の急性閉塞が原因で出血性梗塞を起こした状態です。
妊娠、出産、流産、中絶、経口避妊薬がリスクファクターです。
MRIではT1強調像で辺縁部にrim状の高信号、内部低信号を認め、造影効果は認めないのが特徴です。
子宮筋腫の出血
腹圧上昇や静脈圧の上昇により筋腫表面の静脈が破綻することにより出血を起こすことがあります。
月経、外傷、運動、性交、マッサージ、妊娠などが原因となることがあります。
子宮筋腫の子宮動脈塞栓術(UAE:uterine artery embolization)後の合併症
子宮筋腫に対する治療の一つである、子宮動脈塞栓術(UAE:uterine artery embolization)後の合併症として、
- 感染
- 子宮壊死
- 軟部組織虚血壊死
がまれに起こることがあり、それらが原因で腹痛を起こすことがあります。
参考:臨床画像 vol.34 No.4 2018 P400-402