造影剤を静脈から注射をして、CT検査を行うことを造影CT検査といいます。
この造影CT検査前には食事制限(絶食)がある場合があります。
ただし、食事制限があるかどうかは、施設(病院)にもよります。
食事制限(絶食)をするならば、その理由があります。
今回はその理由についてまとめました。
造影CT検査前には食事制限がある理由は?
お腹を撮影する腹部CTでは、胆嚢が収縮したり、胃や十二指腸の消化管に食べたものが写ってしまい、画像が見えにくくなるため造影剤を用いない単純CTであっても絶食となります。
くわしくはこちら→【画像あり】腹部CTで食事制限(絶食)がある理由は?
しかし、造影剤を用いた造影CT検査の場合、腹部だけではなく、胸部でも、頭部でも絶食なのです。
その理由は、造影剤の副作用から起こることが問題になるためです。
その副作用とは、
- 嘔吐
- アナフィラキシーショック
です。
食事を食べた状態で嘔吐をした場合、気管に入って誤嚥(ごえん)をする可能性があります。
誤嚥をすると誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を起こし、入院加療が必要になることがあります。
検査のために来たのに、そのまま入院ということもあり得るのです。
また、まれですが重篤な造影剤の副作用に「アナフィラキシーショック」があります。
造影剤に対して全身がアレルギー反応を起こし、血圧が低下し、ショック状態に陥るのです。
この際に、場合よっては気管内挿管をしなければなりませんが、食事をしている場合、その気管内挿管の処置が困難になる場合があるからです。
これらのリスクを下げるために、造影CT検査前には食事制限(絶食)が行われます。
造影CT検査前には食事制限のデメリットはないの?
逆に、食事制限によるデメリットはないのでしょうか?
- 食事制限することで逆に嘔吐しやすくなる。
- とくに高齢者の場合、絶食・飲水の制限により、脱水傾向になり、造影剤の腎臓への副作用(造影剤腎症と呼ばれます)が起こりやすくなる。
と主張しているグループもあります。
また、インスリンや糖尿病の薬を内服している糖尿病の方は、絶食に伴いこれらを中止しなくてはいけません。
これが、血糖コントロールを悪化させたり、用いている薬剤によっては低血糖を起こしてしまうリスクがあります。
そのため、軽い食事は認められる施設もあります。
参考URL)造影CT検査の前の絶食について
造影CT検査前の絶食は何時間前から?
造影剤を用いた造影CTでは、時間は施設にもよりますが、
- 検査3-4時間前から絶食(ただし、水やお茶の飲水は可能)
とされます。
最後に
造影CT検査前に食事制限(絶食)がある理由についてまとめました。
主な理由は、「嘔吐をした際に誤嚥するリスクが上がる。」ということです。
ただし、実際のところ、その方針には施設により差があります。